Importante Esprit用語解説

3 職業名称とその役割


・神
 この世界、ジーグ=イ=タリスに君臨する神。神話では、神々が己の世界に帰った後に起きた人間同士の争いを憂い、またそれを鎮めるために唯一人帰ってきたとする。現在は世界の最高峰、オシマム山脈の中にある霊峰の頂上、『天空に最も近き都』カレンドラの神殿で、人々を見守っているのだという。
 神は有能なものを呼び、その傍に召し抱え、動けない自分の代わりに世界の秩序を護らせている。それが『神の代行者』と呼ばれる側近たちであるという。

・領主
 大陸に存在する領国を治める、いわゆる王の位置に属する者。国の代表として、国の秩序を護る役目にある。裁判の際の最高裁判長としての役目も担い、また他国との関係も良好に保つために交流を図ったりなど、とても忙しい。
 当然ながら、賢君としてあがめられる領主もいれば、暴君として末代まで罵られる領主もいる。暴君の場合は神が天罰を与え、国が滅びるとされている。

・騎士(ベータ Beta)
 領国が所有する領国騎士(ヴェリス Veris)と、領国のエリートが集う近衛騎士(エリジェロン Erigeron)の二種類がある。一まとめで騎士と呼ぶこともあるが、大抵はどちらかの名前で呼ばれる。領国騎士は主に警察と裁判官の役割を持ち、領国内各地に派遣されて秩序を護っている。領国騎士の中でも特に有能な者たちが集められたものが近衛騎士であり、もっぱら首都の警備や領主の身辺警護にあたる。国の秩序を護るという立場にあるため、貴族よりも立場は上にある。
 領国騎士および近衛騎士が優れていると有名なのはガルデニア領国である。
・天主騎士(ヴァリエガータ Variegata)
 近衛騎士の中でも特に信頼が置かれ、特に身体能力と頭脳に優れている者のみが与えられる名。領主の影となって国を支え、領主の次に国の統治権を所持する。稀に密偵として他国に潜入し、情報を掴んで牽制する役を担う。場合によっては用人の暗殺をすることもあるが、全ては主たる領主の危険を除くために行われるため、罪には決して問われない。本当に力ある者しか名乗ることを許されぬ、騎士の頂点に立つ者のことをいう。

・貴族(リナリア Linaria)
 主に商人からの成り上がりや、領国主の血縁の者がここに属する。遊んでばかりかというとそうではなく、広大な土地の管理や市場の運営など、意外とやることが多い。上流階級なので社交界もあり、他国の客へのマナーなどを学ぶ。周囲の国との付き合いや旅人へのおもてなしも、大切な商売の一環。たまに国中の商人を集めて勉強会が行われたりする。
 が、やはり他の職業に比べると暇なのは確か。また「損か得か」という基準の下で行われるため、反発を覚える者も少なくはない。特に傭兵は「機械人形と同列、扱いは厄介だが応用が利く便利な道具」としており、扱いもぞんざいであるため、傭兵からはあまり好かれていない。
 ちなみに他国相手の外交官的役目は、領主の血族である貴族が行う。金が絡むことは全て商人からの貴族の役目である。

・商人(クロクス Crocus)
 各地から珍しいものや生活必需品を買い求め、街で売って生活する者たち。貿易など国の運営の重要なパイプ役なので、貴族の次に高い地位を持つ。立場を利用して悪さをする者もいるが、大抵は独自の経営理念の下で商売をしている。基本として資格が無いとお店は経営できないので、商人あがりの貴族が運営する専門の学校に通う。

・魔術師(ムーレイン Mullein)及び学者(エルデア Elder)
 神の伝えた自然の力をある程度操る技術、魔術を操るものたちのこと。たいていが学者と兼任。知識を追い、真理を求める探求者。魔術はある程度の才能がなければ扱えないので、大多数は学者と呼ばれる。ある意味で、才能が左右する職業。ちなみに学術(エルド Eld)魔術(ムール Mull)の性質は異なる。学術は人間の知識を極限まで駆使する、あくまで人間の力のみのもの(医学や薬学などもここに含まれる)。魔術は自然の力など、人間以外の力を操るものである(詳しくは『1 魔術』の項をご覧下さい)。
 各地に点在する学校などは学者や魔術師が運営し、貴族の才能ある子どもらを中心に有料で勉学を教えている。本も学者や魔術師が書き、古来より伝わる知識や新たに発見された知識を伝える役目を担う。

技師(バルム Balm)及び機械師(レミオドーラ Lemiodore)
 太古より受け継がれてきた技術、機械を扱う人々。機械人形の修繕や、その他生活の処々にある機械の修繕をメインにして生計を立てている。機械の扱いに精通しているが、建築家や細工師、職人なども技師に含まれる。師弟制度のある職業で、師が弟子に技術を体得させ、継承していく。
 機械師は技師の上位に属する者を示す。ありとあらゆる技術に精通しており、ことに機械の扱いに突出していることが多い。滅びた時代の機械の扱いも心得ており、さらには新たな機械を発明する者もいるという。稀に機械師の中でも魔術と機械技能を融合させた独自の術を駆使する者がおり、尊敬と畏怖を込めて別名『融合術師(ラプウルス Lupulus)』とも呼ばれる。

・傭兵(カラム Carum)
 己の腕を売る自由戦士を総称して呼ぶ。荒くれものたちが就く職は大抵これといわれる。護衛や魔物退治がその仕事の大半を占めるが、実質上何でも屋。「金さえ与えればどんな仕事でもする」というのが貴族の印象なので、貴族に雇われた傭兵は、微妙にひどい扱いを受けるらしい。基本的に使い捨て、とも考えられているので、機械人形と同列に扱われることもある。貴族に反感を持つ傭兵も少なくない。
 ちなみに傭兵の中でも異質だったのが、通称『冒険家』のモルス=マルベリーである。傭兵のくせに学者という変わり者であったモルス=マルベリーの剣の腕は、今も伝説として残っている。

・操獣師(リンデンコード Lindencord)
 はるか南の深き樹海に暮らしていた民が編み出した操獣術、それを会得した魔術師の総称。樹海の民は絶滅して久しく、操獣術の存在もしばしの間伝承でしか語られていなかった。ここ数年の間で知名度が広がったものの、才能を持つ者が極端に少ないためか、依然幻の職業と呼ばれている。

・吟遊詩人(イクテリナ Icterina)
 楽器を弾きながら伝承を語り、伝説を謳う流浪の人々。各地に根付く伝説や、その土地でしか語られない伝承、物語などを美しいメロディに乗せて人々へ伝える。真理を追究し、事実を基にして構成された学者たちの論とは異なり、吟遊詩人は幻想性や物語性を特に重要視している。吟遊詩人の語る異国の物語を、人々は楽しみに待つという。
 国中を旅する吟遊詩人が必ず訪れる町が、ロゼヒップ領国のラヴェンドラだ。腕のいい楽器技師(イクトバルム)が集まるこの町で、詩人たちは己の持つ相棒を技師に預け、さらによい音色にしてもらうのである。

・従者、給仕
 人間の職業ではなく、機械人形専用のもの。人間の身辺の世話を初めとする雑務をこなす。使い捨てにできるためか、粗雑な扱いを受けることが多い。機械人形には基本的に表情や感情が無いため、そうした扱いを受けても文句を言わないためであろう。

・その他の職業
 他にも、農業、漁業など、食生活に密着した仕事を生業にする者たちがいる。また海ならば航海業、陸ならば貸し馬屋など、書ききれないほど細かい職業が存在する。



::: Back :::